No.7「認知症と共に生きる」山形新聞2011.09.04「日曜随想」

認知症の疑似体験というのがあります。 あたかも認知症の方がこのように見えているのではないかという映像を映し出します。

  これは、聖マリアンナ医科大学理事長、公益社団法人長寿社会文化協会(WAC)現会長である長谷川和夫先生監修のもと、当時のWAC会長 一番ヶ瀬康子先生を委員長とし、 東京大学大学院新領域創成科学研究科板生清 教室によるシステム開発により、認知症高齢者疑似体験プログラムが開発された。  ヘッドマウントディスプレイを使用して音声と映像を再生することにより、バーチャルリアリティを体験するプログラムである。

認知症高齢者の心にせまる、時空間体験である。
「トイレを探して」というプログラムがある 認知症高齢者がトイレがわからなくなる「トイレ探し」は、認知症の軽度から重度にいたる過程において、出現しやすいのです。大変悩ましいことです。 ヘッドマウントディスプレイをして映像を見ているとあたかも自分自身が家のトイレの場所の記憶をなくして、間違えて孫の部屋のドアを開けてしまったり、探して迷っている トイレに行ったつもりが、違うドアを開けてしまい不安になっていく。

  • ・認知症の方がどのように見えているのか
  • ・どのような思いでいるのか

認知症のかたにより近い立場に立つことができる。大切である。
 認知症高齢者は今後増加するといわれている 「高齢者介護研究会報告書『2015年のか高齢者介護』」(2003年6月) によれば何らかの介護・支援を必要とし、かつ認知症がある高齢者は、2015年までに250万人、2025年には323万人になると推計されている。85歳以上の高齢者の4人に1人が認知症と言われています。

 原因となる病気は50〜100程度あると言われ、代表的なのがアルツハイマー病と血管性認知症です。アルツハイマー病の原因はまだはっきりしていませんが、脳の細胞がびまん性に死んで脳が萎縮する病気です。脳血管性認知症は、欠陥が詰まって一部の細胞が死ぬ病気です。残念なことに認知症は進行していきます。

  症状としては、物の名前や使い方を理解できなくなったり、判断できなくなる理解力や判断力に障害がでます。その結果生活することがうまくできなくなります。症状はその方の置かれた状況で異なります。環境を整えたり、関わり方を工夫して、安心して頂き、行動障害を防ぐことが大切です。

  予防は、適度な全身運動、心の栄養、人とのつながりを大切する 明るい気持ちで生活する 認知症になっても、病気ですので、進まないように人とせっしたり、役割を持って暮らしたり、明るい気持ちで 、自尊心を持って生きていくことが大切です。
周りの人は、自尊心を傷つけず、ゆっくりと関わり、注意したりせず、安心感を与えるようにして下さい。
最近物忘れが多くなったなと思ったら、まずは医療機関を受診しましょう。早期発見早期治療です。
今まで生きてきた尊い人生を大切に考え、病気を患った方自身を中心に関わってください。

 ところで、認知症の検査に『お年はいくつですか?』「今日は何年何月何日何曜日ですか」・・・と質問していく長谷川式簡易知能評価スケールがあります。 考案なさった、認知症介護研究第一人者の長谷川和夫先生が酒田でご講演くださいます。どうぞご参集ください。東北公益文科大学公益ホール、9月12日(日)14時から 認知症疑似体験は12時から開始しています。無料。 申し込みNPO法人あらた電話0234−25−8380まで。