No.10「シチズンシップ(市民)教育」山形新聞2011.12.18「日曜随想」

 先日、酒田市立酒田中央高等学校に山形県選挙管理委員として、選挙啓発出前講座に出席しました。3年生155名を対象に50分の講座でした。内容は投票意識の向上を図る選挙講座、本物の投票用紙や投票箱を用いた模擬投票、選挙に関する豆知識を学ぶクイズです。山形県選挙管理委員会事務局事務局の楽しい話術と準備されたスライドにより、選挙について理解と関心を深めて頂きました。生徒の感想にも成果が表れていました。

今回の啓発活動は、山形県選挙管理委員会、山形県明るい選挙推進協議会、酒田市選挙管理委員会が担当しました。このような出前講座は増えています。  国民すべてが平等な権利を持つ民主主義において投票は重要です。ですから主権者としての自立した社会人の育成が必要となります。しかし、「政治」となると、教育現場では当たり障りのない内容となってしまい、成人しても若者は自分の生活に政治が密接に結びついていることを理解できず、社会への参加意識が乏しく、「投票」につながらないようです。

そのような中、全国初の県をあげて模擬選挙を実施し、有権者教育、シチズンシップ教育に取り組んでいるところがありました。
 財団法人明るい選挙推進協会発行の「私たちの広場」№314(2010年9月24日発行)特集「未成年模擬選挙を考える」に神奈川県立高等学校の取り組みが掲載されていました。神奈川県が推進する「シチズンシップ教育」の一環として、平成22年7月に実施された第22回参議院議員通常選挙の機会を活用し、すべての県立高校が模擬投票したそうです。

「シチズンシップ教育のねらい」は以下です。

神奈川県教育委員会では、積極的に社会参加するための能力と態度を育成する実践的な教育を「シチズンシップ教育」と位置付けている。将来を担う若者が実社会で生きて働く力を様々な体験を通じて獲得し、市民として主体的に生きる自覚と責任を学び、社会の一員として、豊かな人間性や社会性を身に付けることがねらいである。
国政選挙模擬投票はシチズンシップ教育に有効である。社会を知るための、1つの手段であり、将来、社会人としてどのように社会と関わっていくのかを考えられるようになるための経験の場となる。政治に関心と意見を持ち将来の有権者として主体的に社会へ関わっていくことが期待される。
「教育課程における位置づけ」は以下である。

教育課程に位置づけられ、指導計画作成、選挙管理委員会等関係機関との事前調整指導計画の作成、保護者等への周知がおこなわれる。
事前学習では選挙、政治、各党の主張、政治課題等を学ぶ。
実際の選挙の投票日前に模擬投票を実施。事後学習で実際の選挙結果との比較・考察模擬投票実施後の意識の変化から自らの学習と政治意識の変化の振り返りをする。指導者は成果を確認する。

次年度の指導計画の作成へとすすむ。
 以上のような模擬選挙は、アメリカ、ドイツ、イギリス、スウェーデンなど欧米諸国においては、実際の選挙の際に、未来の有権者を対象として、大規模におこなわれているそうです。コスタリカでは20年以上の歴史があるそうです。日本では、各地の学校や授業で散発的に行われているそうです。
神奈川県の取り組みは、平成14年年町田市長選挙時から呼びかけられ横断的なつながりがみられるようになり、平成19年度から8校のシチズンシップ教育実践研究校を指定し、その後指定校を追加し、22年度には全校で模擬投票を体験し、23年には本格実施するそうです。

多くの英知と関係機関の連携のもと構築されてきたのでしょうが、取り組まれた皆様のご努力に敬意を表するばかりです。 私も足元に及びませんが主体的に社会に関わる社会人として、地域に貢献できる人でありたいと思います。皆様今後ともご指導ご支援よろしくお願い申し上げます。1年ありがとうございました。